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はい。
続いて今日は第19曲目「水車職人と小川」を載せます。
前回まででポイントだった「僕の墓」ですが、これは若者は自殺を決意した事を意味します。
この詩は、その若者が自殺を図る前の小川との対話です。
(水車職人)
ある誠実な心が
愛に消えると、
百合の花はしおれてしまう、
あらゆる花壇で。
また雲の中へと
満月も入っていくはず。
その涙を
誰かが見てしまわないように。
そして天使たちも
目を閉じて、
すすり泣き、歌って
魂に安らぎを与えてくれるんだ。
(小川)
そして愛が
苦しみから解放されれば、
星が、新しい星が
天に輝きます。
その時には三つのバラが咲き出でます、
半ば紅く、半ば白い、
もはや枯れることのないバラが、
いばらの枝の中から。
そして天使たちも
その翼を切り落として、
あらゆる朝に
地上へと降りて来るのです。
(水車職人)
ああ、小川よ、愛する小川よ、
おまえはそんなにも親身に考えてくれる
ああ、小川よ、知っているのか?
愛が何をするのかを。
ああ、底に、その川底に
冷たい安らぎが!
ああ、小川よ、愛する小川よ、
そうやってただひたむきに歌っておくれ。
最後の段落で「その川底に、冷たい安らぎが!」とあるので、自殺は決定的です。
過去の詩でも書いたように、小川は、若者にとって一番の友でした。
その小川の優しい言葉に、若者は最期に感動するのでした。
さて、久々に動画を貼りたいと思います。
というのも、この詩につけられたシューベルトの音楽があまりに美しいので、この曲集の中でも単独で取り上げられて演奏されるくらい有名な曲なんです(^<^)
まずはオリジナルの、テノールとピアノ伴奏による演奏。
テノールはイアン・ボストリッジ、ピアノは内田光子。
二人とも世界トップレベルの人なんで、これは奇跡の共演です!!
対訳付なので、詩を読みながら音楽を聴いてみてください。
http://youtu.be/M6bCPitAq4s
続いて、最初の方でも紹介した、リストによるピアノ独奏用編曲の演奏。
リストは最後に、水車職人の歌をもう一度付け加えているので、この編曲版はオリジナルより少し長いです。
ピアノは、リストのピアノ曲全曲録音という偉業を成し遂げた、レスリー・ハワード。
前述したように、この曲は単独で演奏される機会が多く、録音もたくさんされているので、検索すればいろんな人の演奏が聴けれます。
今回は無難な演奏を選びましたw
http://youtu.be/TNgimSqBbCQ
他のリスト編曲でもそうですが、歌と伴奏を一人で演奏しなければならないので、そこを上手く表現して演奏するのが難しいのですが、でもこうして独奏用にするアレンジの発想力が凄いし、リストはちゃんとこの詩集の物語、情景を考慮してアレンジしているので、その才能には脱帽。
リストというと「ヴィルトゥオーゾ(芸達者)」といって、超絶技巧を散りばめた曲を書いてるイメージがあり、演奏も困難だったりしますが、シューベルトや他の人の歌曲編曲では、あくまでオリジナルを尊重しているので、純粋に作られています。
なので、リストが他に行った、例えばリストの発想をふんだんに取り入れた、超絶技巧が必要なオペラのピアノ編曲等とは違います。
リストはこの「美しき水車小屋の娘」から6曲をピアノ編曲しているので、興味がある人は聴いてみてください。
リスト編曲の説明が長くなっちゃいましたが、この曲集も次回で最後です。
次回は第20曲「小川の子守歌」です。